HINREVERSE ENTROPY JOURNAL
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抗酸化に励んだら、かえってがんが増えました。どうすればよいのでしょうか?

著者:チェ・ギョンロク 医師・医科学博士 · 2026-11-05

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私はアンチエイジングを考えるとき、少し極端な問いから出発します。

「人間が死なずに生き続けるには、体にどのような能力が必要なのか?」

単に細胞が傷つきにくいだけでは、足りないはずです。

すでに生じた損傷を見つけ、修復し、必要なら取り除き、新しい組織で補える必要があります。

どれほど丁寧に管理しても、建物は永遠には持ちません。

配管を交換し、ひび割れを直し、倒壊の危険がある建物はいずれ解体しなければなりません。

私は体も、このような視点で見ています。

必要な部分を再生する能力と、不要な部分を取り除く能力。

この二つの機能をともに保つことで、長く生きられる可能性も高まると考えています。

ところが、一部の抗酸化物質の研究では、かえって体内のがんを育てるような作用が見られました。

抗酸化物質で最も重要なのは「何を守るのか」です

抗酸化物質について、よく次のように説明されます。

「細胞を酸化による損傷から守ります」

しかし、そこには大切な問いが抜けています。

守るのは正常な細胞だけなのでしょうか。すでに異常を起こした細胞まで守る可能性はないのでしょうか。

2015年にNatureに掲載された研究は、この問いを鮮明に示しています。

研究チームは、ヒトのメラノーマ細胞を免疫不全マウスに移植して転移を調べました。がん細胞が血液を介してほかの臓器に定着する過程で、酸化ストレスは生存を妨げる障壁になっていました。ところが抗酸化物質を投与すると、転移が起こりやすくなったのです。

酸化ストレスとがん転移:Piskounovaら、Nature、2015年

がん細胞にとっても、酸化による損傷が少ないことは生存に有利だったわけです。

抗酸化による保護のもう一方には、体の監視機能があります。

別のマウス研究では、がんに進展する可能性のある肝細胞を、T細胞とマクロファージが協力して取り除いていました。この監視・除去機能が損なわれると、肝がんが発生しました。

異常な肝細胞の免疫監視:Kangら、Nature、2011年

マクロファージとがん細胞の相互作用と、その周囲の血球を写した走査電子顕微鏡写真。
マクロファージとがん細胞の相互作用を撮影した、実際の走査電子顕微鏡写真です。免疫監視と除去を説明する参考写真であり、本文で紹介した抗酸化物質や肝がん研究の実験写真ではありません。
出典:Susan Arnold / National Cancer Institute、Dr. Raowf Guirguis提供資料、1988年。Wikimedia Commonsに掲載された原画像。

この二つの研究を合わせて見ると、私がなぜ再生と除去を同時に考えるのか、ご理解いただけると思います。

正常な組織を守ることと同じくらい、危険な細胞を生き残らせ続けないことも大切です。

目標は、すべての細胞を無条件に長生きさせることではありません。人間が長く健康に生きることです。

一部の高用量抗酸化サプリメントのがんリスクは、すでにヒトでも確認されています

これは動物実験だけの話ではありません。

特定の脂溶性ビタミンやその前駆体を、高用量で長期間補充したところ、実際にがんの発生が増えた大規模ランダム化試験があります。

ATBC、1994年:肺がん発生の相対リスクが18%増加

男性喫煙者29,133人を対象とした研究です。βカロテンを1日20 mg補充した群では、補充しなかった群より肺がんの発生が相対的に18%多くなりました。

ATBC研究の原著

CARET、1996年:肺がん発生の相対リスクが28%増加

喫煙者、元喫煙者、アスベストに曝露した労働者など、高リスクの18,314人を対象としました。βカロテン1日30 mgとビタミンA 1日25,000 IUを併用した群では、プラセボ群より肺がんの発生が相対的に28%多くなりました。

CARET研究の原著

SELECT、2011年:前立腺がんの発生リスクが17%増加

主要解析には男性34,887人が含まれました。ビタミンEを1日400 IU単独で服用した群では、プラセボ群より前立腺がんの発生リスクが相対的に17%高くなりました。

SELECT研究の原著

ATBCとCARETは、肺がん予防への期待から始まった試験でした。SELECTも前立腺がんの予防を検証しましたが、結果は逆になりました。

たとえばSELECTの前立腺がん発生率は、プラセボ群が1,000人年あたり9.3件、ビタミンE群が10.9件でした。絶対差は同じ単位で1.6件です。1,000人年とは、1,000人を1年間観察することに相当する観察量を意味します。

SELECT:前立腺がんの発生率は1,000人年あたりプラセボ群9.3件、ビタミンE群10.9件。絶対差1.6件、ハザード比1.17。
SELECTのビタミンE単独群とプラセボ群の比較です。前立腺がん発生率は、それぞれ1,000人年あたり10.9件と9.3件で、絶対差は1.6件です。相対リスクの17%増加はハザード比1.17に基づくもので、17パーセントポイントの増加ではありません。グラフには信頼区間を示していません。
出典:Klein EA et al., JAMA. 2011;306:1549–1556, Table 3. Reverse Entropyがグラフを再作成。

私が警戒しているのは、食品に含まれるビタミン全般ではなく、このように害が確認された特定の成分・用量を長期にわたって補充することです。

この場合、「体によさそうだから」という理由だけで使い続ける根拠は弱いと言えます。

抗酸化作用が強いことは、アンチエイジング効果の保証にはなりません。

ビタミンCはどうでしょうか?

ビタミンCについては、製剤や条件によって結果が混在しています。

たとえば男性医師14,641人が参加したランダム化試験では、ビタミンC 1日500 mgは、がん全体の発生を有意に増やすことも減らすこともありませんでした。服用終了後の観察を含む平均10.3年の追跡で、がん全体のハザード比は1.02でした。

ビタミンCの長期追跡結果:Wangら、AJCN、2014年

私はこの結果を見て、水溶性のビタミンCを諦めるべきだとは考えていません。

ただし、がんを確実に予防してくれる成分だと信じて使っているわけでもありません。

私が注目しているのは、ビタミンCが担うさまざまな生物学的役割です。

ビタミンCには、単なる活性酸素の除去役という説明に収まらない、多くの働きがあります。

2017年のNatureの研究では、造血幹細胞にはビタミンCが高濃度で存在し、遺伝子制御に関わるTET2という酵素の働きを助けることが示されました。

ビタミンCが不足したマウスでは、特定の変異が重なると白血病の発症が早まり、ビタミンCを再び補給すると、その変化が緩和されました。

ビタミンC・造血幹細胞・TET2:Agathocleousら、Nature、2017年

簡単に言えば、ビタミンCは単に細胞を包む保護膜ではなく、細胞が正常な働きを保つための過程にも参加していたのです。

これが、私がビタミンCを積極的に活用する理由です。

明確な害が確認された高用量の補充は避けつつ、活用する価値のある成分まで手放すつもりはありません。

そして抗酸化にすべてを任せるのではなく、体を修復し、監視するほかの機能も一緒に考える必要があります。

細胞内の掃除が行き届いてこそ、幹細胞も長く働けます

保全と修復がつながっているという考えを裏づける、重要な研究があります。

2016年のNatureの研究では、老化した筋幹細胞でオートファジーが低下すると、損傷したタンパク質や細胞小器官が蓄積し、ミトコンドリア機能が悪化するとともに、幹細胞の機能も低下しました。

高齢マウスの幹細胞でオートファジーを再び働かせると、再生能力が回復しました。

García-Pratら、Nature、2016年

幹細胞を長く維持するには、成長し続けるよう刺激するだけでは足りません。その細胞の内部にある維持・修復機能も、働き続けている必要があります。

2026年10月には、この原理が免疫細胞にもつながる研究が発表されました。

細胞内の選択的なタンパク質分解システムであるシャペロン介在性オートファジー(CMA)が弱まると、マクロファージが老化細胞を取り除く能力も低下しました。反対に、薬剤でCMAを活性化すると、高齢マウスの老化細胞の負荷が減少しました。

CMAと老化細胞の除去:Seredaら、Nature Aging、2026年

掃除をする人が十分に働くには、その人自身も正常な状態に保たれている必要があったわけです。

こうした結果を見ると、抗酸化、オートファジー、免疫、幹細胞を、別々の流行語として扱うのはもったいないと感じます。

私はこれらを、一つの維持・修復システムとしてつなげて考えています。

運動は、保全と修復を一緒に考えるための最もよい例です

運動は、私のアンチエイジング戦略の中心です。

私は運動を、単にカロリーを消費したり、筋肉を大きくしたりする行為とは見ていません。

体が刺激に適応し、自らの機能を保つための過程だと捉えています。

2012年のNatureのマウス研究では、運動によって誘導されるオートファジーが、運動による代謝上の利益の一部に必要でした。

運動時のオートファジー反応が十分に起こらないようにしたマウスでは、糖代謝の改善などに不利な結果が見られました。

運動によって誘導されるオートファジー:Heら、Nature、2012年

ヒトの実際の病気の経過を見ると、さらに説得力のあるデータもあります。

2025年にNEJMに掲載されたCHALLENGE試験では、手術と術後補助化学療法を終えた結腸がん患者889人をランダムに割り付けました。

一方には3年間の体系的な運動プログラムを、もう一方には健康教育資料を提供しました。

5年無病生存率、すなわち再発・新たながん・死亡を経験せずに過ごす確率の推定値は、運動群80.3%、対照群73.9%でした。絶対差は6.4パーセントポイントです。追跡期間全体では、これらを合わせた複合イベントのハザードが運動群で相対的に28%低くなりました。

運動と結腸がん治療後の経過:Courneyaら、NEJM、2025年

CHALLENGE:5年無病生存率は健康教育群73.9%、運動群80.3%。差は6.4パーセントポイント、複合イベントのハザード比0.72。
手術と術後補助化学療法を終えた結腸がん患者に、3年間の体系的な運動プログラムを提供したCHALLENGE試験です。5年無病生存率の推定値は運動群80.3%、健康教育群73.9%でした。差は6.4パーセントポイント(95%信頼区間0.6~12.2)です。相対的なハザードの28%低下は、追跡期間全体の複合イベントのハザード比0.72を指し、5年生存率の相対的な増加とは異なります。グラフには信頼区間を示していません。
出典:Courneya KS et al., NEJM. 2025;393:13–25. Reverse Entropyがグラフを再作成。

この試験は、オートファジーや免疫の変化など、どの機序が結果をもたらしたのかを確定したものではありません。

しかし、運動の価値を抗酸化の数値や体重の変化だけに限定する必要はないことを示しています。

実際の病気の経過まで変え得る介入だからです。

だからこそ私は、サプリメントをどれほどうまく選ぶかよりも、定期的な運動が実際に自分の生活の中で行われているかを重視しています。

私はこの原理を、自分のアンチエイジング・プロトコルに取り入れています

私は抗酸化物質を単独で考えていません。

正常な組織を守りながら、体が自ら損傷を処理し、回復する能力も一緒に保つこと。

この目標をもとに、栄養補充、運動、代謝管理、免疫調整を一つの計画に組み込みました。

今回は、現在私が行っていることを簡単に紹介します。

詳しい内容は、改めてきちんと紹介するつもりです。

毎日の栄養・抗酸化補充

ビタミンC、リポソーム型グルタチオン、亜鉛を摂取しています。

注射・点滴

ビタミンB・C、グルタチオン、プラセンタ注射を週1回使用しています。

ビタミンDの管理

血液検査を確認し、不足している場合は注射で補充します。検査の正常範囲の下限付近を目標に管理しています。

筋力トレーニング

毎日、懸垂と腕立て伏せを行います。慣れてきたら、回数を少しずつ増やします。

有酸素運動

週2~3回、トレッドミルや水泳などを行います。

代謝管理

ウゴービを週0.25 mg、メトホルミンを1日250 mg使用しています。

免疫調整へのアプローチ

サイモシンα1の注射を、週1アンプル使用しています。

これは私個人の使用内容を公開したものであり、読者がそのまままねるための処方表ではありません。

以下では、それぞれの要素を選んだ目的を説明します。

この用量・頻度・組み合わせ全体のアンチエイジング効果と長期的な安全性が、臨床試験で検証されたわけではありません。あくまで参考としてお読みください。

抗酸化を積極的に活用しますが、それだけで体を管理するわけではありません

ビタミンCやグルタチオンなどを使う目的は、不要な酸化損傷を減らし、正常な細胞機能を支えることです。

ただし私の目標は、体内の酸化シグナルをできる限りすべて消すことではありません。

運動し、適応し、損傷を処理する過程まで止めてしまうような保護を望んでいるわけではありません。私は抗酸化を、体の維持・修復計画に必要な一要素として位置づけています。

ビタミンDの扱い方も、同じ考え方です。

私の場合は血液検査を確認し、正常範囲の下限付近を目標に補充します。「よいと言われているから、数値をできるだけ高くしよう」ではなく、不足しないように管理しつつ、不必要に高くすることにはこだわらないという、個人的な選択です。

つまり、抗酸化を積極的に活用するというのは、すべての成分を最大用量で使うという意味ではありません。

必要だと判断した役割を任せつつ、その役割が体全体の目標に合っているかを見ていくということです。

運動は、私のプロトコルの中心です

私は毎日、懸垂と腕立て伏せを行い、慣れるにつれて回数を少しずつ増やしています。これに週2~3回、トレッドミルや水泳などの有酸素運動を加えています。

運動に期待しているのは、単に筋肉を大きくしたり、体重を減らしたりすることだけではありません。

刺激を受け、回復し、次にはよりうまく対応できるように体を鍛えることです。

先ほど紹介した研究のように、運動の利益にはエネルギー消費だけでなく、細胞内部の維持・修復過程も関わっています。

私は筋力トレーニングで筋肉と機能を守り、有酸素運動を通じて、体全体を継続して動かす生活をつくっています。

ここで大切なのは、毎日自分を完全に消耗させることではありません。

繰り返すことができ、回復でき、時間とともによくなっていける刺激を与えることです。

私にとって運動は、抗酸化物質に付け足す選択肢ではありません。保全と修復を一緒に考えるための、中心的な活動です。

メトホルミンには、代謝管理と成長シグナルの調整を期待しています

私はメトホルミンを1日250 mg使用しています。

糖尿病の治療では通常もっと多い量を使いますが、私は少量を使用しています。

関心があるのは血糖だけではありません。細胞が栄養やエネルギーの状態に応じて、いつつくり、いつ維持・修復するのかを調整する過程です。

mTORは、この過程に関わる重要なシグナル系です。

メトホルミンがmTORC1シグナルを抑制する現象は、マウスの肝臓と培養肝細胞の研究で確認されています。関与する経路は、用量や実験条件によって異なっていました。

メトホルミンと肝臓のmTORC1シグナル:Howellら、Cell Metabolism、2017年

私はこうした機序と代謝管理という目的を合わせて考え、メトホルミンを選びました。

目標は、成長を無条件に止めることではありません。同時に筋力トレーニングを行い、筋肉を維持し、育てようとしています。

必要な組織はつくりながら、不必要に続く成長シグナルや代謝負担は減らすこと。

これが、私が二つのアプローチを一緒に考える理由です。

サイモシンα1には、免疫系の対応能力を期待しています

私はサイモシンα1を週1回、1アンプル使用しています。

関心があるのは、漠然と「免疫力を強くする」という考えではありません。

体が必要な対象を見分け、適切に対応できる状態を保つことです。

サイモシンα1は、樹状細胞やT細胞に関わる反応を調整する作用が研究されているペプチドです。2004年のBloodの前臨床研究では、樹状細胞の成熟とT細胞反応を促進し、免疫機能が低下したマウスの真菌感染に対する防御を改善しました。

サイモシンα1の免疫調整研究:Romaniら、Blood、2004年

私はこうした免疫調整の可能性に注目し、自分のプロトコルに取り入れています。

都市にたとえるなら、建物を丈夫にするだけで終わらせず、問題を発見して対応する管理スタッフにも目を向けるということです。

少量のGLP-1受容体作動薬は、体が引き受ける代謝負担の管理に使っています

私はウゴービを週0.25 mg使用しています。

ここに任せているのは、食欲、体重、代謝負担を管理する役割です。

無条件に大幅な減量をしたり、食べる量を際限なく減らしたりすることが目的ではありません。(私は体つきがよいほうです。)

ヒトのSELECT臨床試験では、心血管疾患があり、過体重または肥満の成人17,604人に、週2.4 mgを目標としてセマグルチドを投与したところ、主要心血管イベントが減少しました。平均約40か月の追跡で、発生割合はプラセボ群8.0%、治療群6.5%でした。

セマグルチドと心血管イベント:Lincoffら、NEJM、2023年

これは、先に紹介したビタミンEの研究と同じ名前を持つ、別のSELECT試験です。

私の少量使用と同じ条件の根拠ではありませんが、この薬を単なる減量の道具以上のものとして研究する理由を示しています。

私の戦略では、運動と栄養を維持しながら、体に蓄積する代謝負担を管理する役割に焦点を当てています。

修復能力を保つこととともに、そもそも修復すべき負担自体も減らそうとしているのです。

保全と除去を一緒に強めると、互いに打ち消し合うのでしょうか?

私はこの問いを、都市の管理にたとえると理解しやすいと考えています。

都市に建設チームがあるとしましょう。

建設チームは新しい家を建て、道路をつくり、必要な施設を増やします。しかし、古くなった設備を点検・整備する能力がないまま、新しいものばかり追加し続けたらどうなるでしょうか。

老朽化しているのに放置される地域が生まれ、配管や道路は複雑に絡み合い、問題のある区域にはますます手を付けにくくなるはずです。

都市のあちこちに、荒廃した地域が生まれるわけです。

反対に、解体チームばかりが強くなったらどうでしょうか。

危険な建物を取り除く速度は上がるでしょう。しかし、それに代わる家やインフラをつくれなければ、やがて人が住む場所がなくなってしまいます。

つくり続けるだけでも、壊し続けるだけでもいけません。

だからといって、建設チームと解体・修復チームが反対の仕事をしているという理由で、どちらか一方を減らす必要があるわけではありません。

二つのチームが同じ建物を同じ瞬間に、むやみに建てたり壊したりするなら無駄です。

でも、一方が健全な地域を維持し、必要な施設をつくり、もう一方が危険な部分を見つけて修復・解体するとしたらどうでしょうか。

それは相殺ではなく、都市全体の管理能力が高まるということです。

よく保全された建物と修復・建設中の建物が並ぶ都市模型。保全と修復をともに備える考えを表した概念図。
健全な建物を保全しながら、古くなった部分を修復し、必要な施設を新たにつくる都市の比喩です。保全と修復をともに備えようという筆者の考えを説明する挿絵であり、特定の薬剤の組み合わせの効果を証明する図ではありません。
出典:Reverse Entropyオリジナル。AI生成の説明用イラストに文字を別途編集。本版ではラベルを日本語化。

私が高めたいのは「反応の強さ」ではなく「管理できる能力」です

私の目標も、これと同じです。

建設チームと修復チームのどちらか一方だけを大きくするのではなく、体全体を管理できるだけの能力を、両方に備えたいのです。

正常な細胞を不要な損傷から守り、必要な組織を再生できなければなりません。

同時に、損傷した構成要素を処理し、危険な細胞に対応し、問題のある組織を再び整備できる必要があります。

私が言うバランスは、二つの機能を弱め、中間で妥協する状態ではありません。

必要な場所で、必要な仕事を十分に行えるよう、異なる能力をともに備えた状態です。

抗酸化防御と免疫機能は、互いを助けることもあります

2017年のImmunityの研究では、マウスのT細胞でグルタチオンをつくる機能を失わせました。

すると、T細胞の活性化に必要な代謝の切り替えに問題が生じ、ウイルスに対応する能力も低下しました。

免疫細胞が働くには、その免疫細胞自身の抗酸化防御も必要だったのです。

グルタチオンとT細胞の代謝の切り替え:Makら、Immunity、2017年

これは、グルタチオンのサプリメントや注射が同じ効果をもたらすことを示した臨床試験ではありません。しかし、大切な原理を示しています。

保護機能と防御機能は、必ずしも対立するものではありません。守られるべき細胞が健康であってこそ、その細胞も自分の仕事ができます。

掃除をする人に防護具を渡したからといって、掃除が止まるわけではありません。むしろ、自分の体を守れてこそ、仕事を続けられます。

私が抗酸化と、免疫・オートファジー・運動を一緒に考える理由も、ここにあります。

だからこそ、きめ細かな設計が必要です

都市全体の整備能力を高めることと、すべての現場にむやみに人員を投入することは違います。

どの建物を保全し、どこを修復し、何を解体し、その場所をどう埋め直すのかを判断する必要があります。

体でも同じです。

成分名だけでなく、用量、投与経路、間隔、現在の栄養・代謝状態、運動と回復の状態を合わせて見る必要があります。

私が言うきめ細かさは、薬の種類をどんどん増やす技術ではありません。

各要素にどの役割を任せ、不必要な負担や重複がないかを確かめ、結果に応じて調整することです。

低用量だから自動的に安全になるわけではなく、私が使っているからといって、同じ組み合わせがほかの人にも合うわけではありません。

ただし、保全と修復が異なる方向に働くという理由だけで、両方を目指すことが矛盾するわけではありません。

まず、分かっている不要なリスクを減らす。そのうえで、必要な機能を一緒に設計していくのです。

永遠に生きたいなら、すべての細胞を永遠に生かしてはいけません

逆説のように聞こえますが、これが私のアンチエイジング観の核心です。

よく保全されながら、自らを修復できる体。

正常な組織を長く維持しつつ、損傷や危険を放置しない体。

私が目指すのは、その循環を続けられる、止まらない生命です。

参考文献

García-Prat L ほか. Autophagy maintains stemness by preventing senescence. Nature. 2016;529:37–42. 原著

Piskounova E ほか. Oxidative stress inhibits distant metastasis by human melanoma cells. Nature. 2015;527:186–191. 原著

Kang TW ほか. Senescence surveillance of pre-malignant hepatocytes limits liver cancer development. Nature. 2011;479:547–551. 原著

ATBC Cancer Prevention Study Group. The Effect of Vitamin E and Beta Carotene on the Incidence of Lung Cancer and Other Cancers in Male Smokers. NEJM. 1994;330:1029–1035. 原著

Omenn GS ほか. Effects of a Combination of Beta Carotene and Vitamin A on Lung Cancer and Cardiovascular Disease. NEJM. 1996;334:1150–1155. 原著

Klein EA ほか. Vitamin E and the Risk of Prostate Cancer: The Selenium and Vitamin E Cancer Prevention Trial (SELECT). JAMA. 2011;306:1549–1556. 原著

Wang L ほか. Vitamin E and C supplementation and risk of cancer in men: posttrial follow-up in the Physicians’ Health Study II randomized trial. AJCN. 2014;100:915–923. 原著情報

Agathocleous M ほか. Ascorbate regulates haematopoietic stem cell function and leukaemogenesis. Nature. 2017;549:476–481. 原著

Sereda R ほか. Decline of chaperone-mediated autophagy in aging impairs macrophage clearance of senescent cells. Nature Aging. 2026年10月5日. 原著

He C ほか. Exercise-induced BCL2-regulated autophagy is required for muscle glucose homeostasis. Nature. 2012;481:511–515. 原著

Courneya KS ほか. Structured Exercise after Adjuvant Chemotherapy for Colon Cancer. NEJM. 2025;393:13–25. 原著

Howell JJ ほか. Metformin Inhibits Hepatic mTORC1 Signaling via Dose-Dependent Mechanisms Involving AMPK and the TSC Complex. Cell Metabolism. 2017;25:463–471. 原著情報

Romani L ほか. Thymosin alpha1 activates dendritic cells for antifungal Th1 resistance through toll-like receptor signaling. Blood. 2004;103:4232–4239. 原著情報

Lincoff AM ほか. Semaglutide and Cardiovascular Outcomes in Obesity without Diabetes. NEJM. 2023;389:2221–2232. 原著

Mak TW ほか. Glutathione Primes T Cell Metabolism for Inflammation. Immunity. 2017;46:675–689. 原著情報

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韓国語原文の公開日:2026-10-16。韓国語の原文を読む ↗