前回のメラトニンの話に続いて、今日も不眠症について少しお話ししようと思います。
そのときも少し触れましたが、習慣的にカフェインを摂りながら不眠を訴える方は多くいます。そして、カフェインが不眠の原因かもしれないことに気づいていない場合がほとんどです。
例えば、午後にコーヒーを飲んでも、枕に頭をつけるとすぐ眠れる人がいます。
こうした方は、コーヒーは睡眠にあまり影響しないと考えがちです。
しかし、すぐに寝つけることと、一晩を通してよく眠れることは違います。すぐ眠れても、睡眠中に目が覚める回数が増えたり、深い睡眠が不足したりすることがあります。
だからといって、誰もが午後のコーヒーをやめるべきだという意味ではありません。飲んだ時刻だけでなく、カフェインの量や普段の睡眠の状態も併せて見る必要があります。

出典:Luke Chesser / Wikimedia Commons / CC0 1.0 / サイズのみ縮小。原画像とライセンスは参考資料にリンクしています。
寝つけたというだけでは分かりません
カフェインは疲労をなくすというより、「眠い」という信号を覆い隠します。
起きている間、脳にはアデノシンという物質が蓄積します。
体に「そろそろ休む時間だ」と知らせる信号です。
カフェインはこの信号が伝わるのを妨げ、一時的に眠気を感じにくくします。疲労が回復したこととは違います。
問題は、夜になってもカフェインの作用が残っていることがある点です。
眠れたからといって、睡眠に影響していないとは限りません。
2024年にオンライン公開されたある研究では、健康な成人男性23人が、カフェインを摂取した日と摂取しなかった日の睡眠を比較しました。
就寝8時間前にカフェイン400 mgを摂ったとき、夜間に目が覚めていた時間が約29分長くなりました。
ところが、重要なのはここです。参加者自身がつけた「睡眠の質」の評価には、明確な差が現れませんでした。
機器には睡眠が途切れた痕跡が残っていても、本人の睡眠の質の評価には、その違いが表れていなかったのです。
そのため、「コーヒーを飲んでもよく眠れます」という感覚だけで、カフェインの影響を判断するのは難しいのです。大切なのは、寝つけるかどうかだけでなく、一晩を通してどれだけ続けて眠れるかです。
同じ午後でも、1杯と高用量は違います
幸い、実験ではカフェイン100 mgによる有意な睡眠の差は見られませんでした。
一方、400 mgの影響はより明確でした。就寝4時間前に摂った場合、総睡眠時間は約51分短くなり、12時間前でも入眠に関する一部の指標や深い睡眠に変化が見られました。
ここから、100 mgなら誰にとっても睡眠に安全な基準だと結論づけてはいけません。
カフェインによる睡眠の妨げには、非常に大きな個人差があるためです。
参考までに、カフェイン400 mgはコーヒー約2~3杯に相当します。
ただし、実生活では「何杯」より、商品に表示されたカフェイン量のほうが役立ちます。
カップの大きさ、豆、抽出方法によって、1杯に含まれる量が変わるためです。大きなコーヒーにエナジードリンクや運動前のサプリメントまで加われば、思っている以上に摂取していることがあります。
米国FDAが、成人の多くでは1日400 mgが一般に悪影響と関連しない量だと説明していることも、その量なら睡眠に影響しないという保証ではありません。1日全体の摂取量に関する案内と、夜の睡眠を守る基準は区別する必要があります。

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午後の何時かではなく、自分の就寝時刻から考えます
誰にでも「午後2時以降は禁止」のように、同じ時刻を設定するのは難しいものです。夜10時に寝る人と未明に寝る人では、コーヒーから就寝までの間隔が違います。カフェインを体内で処理する速さや感受性にも個人差があります。
朝すっきりしなかったり、夜中によく目が覚めたりするなら、まず遅い時間のカフェインや高用量の商品を見直す価値があります。最後に摂る時刻を早めたり、量を減らしたりして、就寝・起床時刻をできるだけ一定に保ちながら変化を記録してみてください。
記録には、コーヒーを飲んだ時刻、商品のカフェイン量、夜中に目が覚めた感覚、翌日の眠気を書けば十分です。これは原因を絞り込むための生活上の観察であり、睡眠障害の診断法ではありません。改善したなら、今の量や時刻が自分にとって負担だった可能性を考えられます。
コーヒーの代わりに、お茶やほかの飲み物を選ぶときも確認を
コーヒーを減らし、紅茶や緑茶に替えることがあります。どちらもカフェインを含むため、コーヒーではないからといって、夜に制限なく飲めるわけではありません。チョコレート、一部の飲料やサプリメント、市販薬に含まれるカフェインも併せて確認する必要があります。特にコーラが不眠の原因になっている場合も多いものです。
デカフェはカフェインの少ない選択肢ですが、「カフェインゼロ」とは違います。敏感な人は商品情報を確認し、自分の反応を見るほうがよいでしょう。毎日たくさん飲んでいたなら、急にすべてをやめるより、少しずつ減らすほうが不快な離脱症状を和らげる助けになります。

出典:Dalia fathallah / Wikimedia Commons / CC BY-SA 4.0 / 原画像の編集なし。原画像とライセンスは参考資料にリンクしています。
参考資料と写真の出典
Gardiner et al. カフェインの摂取量と摂取時刻がその後の睡眠に及ぼす影響。Sleep。2024年10月8日オンライン公開。ヒトを対象とした無作為化クロスオーバー試験の原文
米国食品医薬品局。カフェインの摂取量・感受性・デカフェ・摂取量を減らす方法についての案内。FDA公式資料
コーヒーの写真:Luke Chesser。原画像とCC0の表示。時計の写真:Szűcs László。原画像とCC0の表示。この2枚はサイズのみ縮小しており、再利用条件はCC0 1.0です。
紅茶の写真:Dalia fathallah。原画像、CC BY-SA 4.0。原画像を編集せず使用しています。
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