最近は、運動のためのサプリメントとしてクレアチンを摂取する方が増えています。私も、本格的に筋力トレーニングに取り組むときには、ときどき服用しています。
ところが、クレアチンを飲み始めてから健康診断を受けると、クレアチニン値が高く出ることがあります。この場合、本当に腎臓に問題が起きたのでしょうか。
検査表で腎機能を示すeGFRまで低くなっていると、さらに不安になるかもしれません。
結論から言うと、この2つの数字だけで腎障害を確定することはできません。クレアチンの摂取がクレアチニン値に影響し、クレアチニンから計算するeGFRも一緒に変わることがあるためです。
ただし、高くなった値をサプリメントのせいだと片づけてよい、という意味ではありません。何が数値を変えたのかを確認する必要があります。

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名前は似ていますが、役割は違います
クレアチンは、筋肉が短時間に力を発揮するときのエネルギー供給に関わる物質です。クレアチニンは、クレアチンの代謝過程で生じる老廃物です。名前は似ていても、同じ物質ではありません。
クレアチニンは、腎臓を通じて血液から取り除かれます。そのため、血液中に多く残っていると、腎臓が十分に働いていないのではないかと推測できます。ただし、その量は腎臓の処理能力だけでなく、体内でどれだけ作られるかにも左右されます。
筋肉量が多い場合や、最近激しい運動をした場合、加熱した肉を多く食べた場合にも、検査結果が変わることがあります。米国腎臓財団(National Kidney Foundation)は、クレアチンのサプリメントも、実際の腎機能とは別にクレアチニンを上昇させる要因として挙げています。
クレアチニンとeGFRは、独立して動く2つの検査ではありません
検査表にあるeGFRは「推算糸球体ろ過量」です。腎臓が血液をろ過する能力を計算で推定した値で、一般に血中クレアチニンと年齢、性別を用いて求めます。
この方法では、クレアチニンが上がると、計算上のeGFRが下がることがあります。したがって、2つの値が同時に悪くなったからといって、2つの検査がそれぞれ腎障害を確認したわけではありません。同じ出発点から得られた結果だと考えるとわかりやすいでしょう。
出典:独自に作成した説明図。根拠:National Kidney Foundation, Creatinine。写真や臨床試験結果のグラフではありません。
これは、検査が役に立たないという意味ではありません。数値を適切に解釈するには、摂取しているサプリメントや最近の生活も知る必要があるということです。実際に腎機能が低下してクレアチニンが上がる場合もあるため、以前の検査と比較し、どのくらいの速さで変化したかも確認しなければなりません。
幸い、人を対象とした研究があります
2020年に発表された臨床試験は、筋力トレーニングを行う健康な若い男性を対象としました。クレアチンモノハイドレートを1日3 gまたは5 g摂取する群と、プラセボを摂取する群を35日間比較しています。36人が参加し、運動への参加基準を満たさなかった6人を除く30人が研究を完了しました。
クレアチンを摂取した群では、摂取前よりクレアチニンが上がり、計算上のeGFRが下がりました。一方、尿中のたんぱく質・アルブミンや、研究用の腎障害マーカーに有意な変化は認められず、評価した指標の群間差も有意ではありませんでした。
この結果は、「クレアチニンは上昇したが、腎障害はなかった」という説明を裏づけます。ただし、規模が小さく、期間も短い研究です。腎臓病のある人や高齢者、多量を長期間摂取する場合まで、安全性を保証するものではありません。
検査結果が変わったら、まず摂取していることを伝えましょう
受診時に、製品名と成分、1日の摂取量、開始日を伝えると、結果の解釈に役立ちます。クレアチンだけでなく、ほかのサプリメントや薬も一緒に書き留めておきましょう。最近の激しい運動や食事の変化も伝えるとよいでしょう。
検査前に数値をよく見せようと、水を過剰に飲んだり、処方薬を自己判断で中止したりする必要はありません。クレアチンを一時的に中止するか、いつ再検査するかは、検査の目的や変化の程度に応じて医療者と相談して決めるのがよいでしょう。

出典:Photo: Marius Vassnes / Wikimedia Commons / CC BY-SA 4.0 / 原画像を編集せず使用。原画像とライセンスへのリンクは参考文献に記載しています。
クレアチニンから計算した値が実際の状態と合わない可能性がある場合は、シスタチンCという別の血液指標を併用できます。米国腎臓財団は、クレアチニンとシスタチンCを組み合わせたeGFRの方が、どちらか一方だけを用いた値より正確だと説明しています。すべての人に追加検査が必要なわけではなく、医療者が必要性を判断します。
尿中アルブミン検査も役立ちます。血液検査が「どれだけろ過しているか」を調べるのに対し、尿検査では血液中のたんぱく質が尿へ漏れ出していないかを確認します。米国国立糖尿病・消化器病・腎疾病研究所(NIDDK)は、腎臓病の評価に血液検査と尿中アルブミン検査の両方を案内しています。
ただし、サプリメントのせいだと結論づける前に
健康診断で以前より数値が明らかに変わっていたら、必ず受診して結果を確認してください。特に、もともと腎臓病がある場合や尿検査にも異常がある場合は、クレアチンが原因だと自己判断しないことが大切です。初期の腎臓病は無症状のことがあるため、体調がよいという感覚だけでは否定できません。
参考文献と写真の使用条件
Vilar Neto JOほか。Novel renal biomarkers show that creatine supplementation is safe: a double-blind, placebo-controlled randomized clinical trial. Toxicology Research. 2020年5月13日。人を対象とした臨床試験の原文
National Kidney Foundation. Creatinine. 2023年6月1日更新。クレアチニンと検査結果の解釈に関する案内
NIDDK. Chronic Kidney Disease Tests & Diagnosis. 2016年10月レビュー。腎臓の血液・尿検査に関する案内
クレアチン粉末の写真:Awkwafaba、原写真のページ。採血用具の写真:Photo: Marius Vassnes、採血用具の原写真のページ。どちらの写真も、CC BY-SA 4.0の使用条件に従い、編集せずに使用しました。特定の製品や機関を推奨するものではありません。説明図は本文の理解を助けるために独自に制作したもので、実際の患者や実験の写真ではありません。
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