HINREVERSE ENTROPY JOURNAL
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約30年ぶりのヘルペス新薬、プリテリビルがFDA承認

著者:チェ・ギョンロク 医師・医科学博士 · 2026-11-05

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こんにちは。今日は、医療の世界で長い間待ち望まれていた、とてもうれしいニュースをお伝えします。

約30年ぶりに登場した、新しい単純ヘルペスウイルス(HSV)治療薬の話です。

口唇ヘルペスなどに悩んできた方にとって、最もなじみのある薬は、おそらくアシクロビルやバラシクロビルでしょう。ただ、このアシクロビル系の薬が開発されたのは、1970年代にまでさかのぼります。

私たちは30年以上にわたり、吸収率などを改善した、同じ系統の薬を中心に使ってきました。

ところが最近、ウイルスの増殖をまったく異なる仕組みで阻害する、次世代のヘリカーゼ・プライマーゼ阻害薬が臨床開発の最終段階に到達し、治療のあり方が変わり始めています。

その代表的な薬であるプリテリビル(pritelivir)が、2026年10月9日、米国FDAに承認されました。

ヘルペスを繰り返す方が、まず知りたいのはこのことでしょう。

「今度こそ完治できるの? 今飲んでいる薬を替えたら、再発が減るの?」

まず、この薬は完治させる薬ではありません。従来の薬では治療が難しかった患者さんに、新しい飲み薬が加わったということです。

承認の対象は、免疫機能が低下している成人で、従来の治療に反応しない皮膚・粘膜のヘルペス病変がある患者さんです。

単純ヘルペスウイルスの粒子を捉えた透過電子顕微鏡写真。
実際の単純ヘルペスウイルス(HSV)を観察した透過電子顕微鏡写真。原画像の縦横比を維持しています。

出典:CDC / Dr. Fred Murphy; Sylvia Whitfield, 1975。PHIL #10260。

患者さんによくある誤解があります。薬を飲んだのに再発したら、耐性ができたのではないか、という疑問です。

必ずしもそうではありません。再発と薬剤耐性は、同じ意味ではありません。

ヘルペスウイルスは、症状が治まった後も神経節に潜伏することがあります。従来の抗ウイルス薬は増殖中のウイルスを抑えますが、潜伏したウイルスまで取り除くわけではありません。治療で良くなった後、しばらくして再び水ぶくれができたという事実だけでは、薬が効かなくなったとは判断できないのです。

現在よく使われる薬は、アシクロビル、バラシクロビル、ファムシクロビルです。再発のたびに数日間服用して治療するほか、再発が多すぎる場合には、毎日服用する抑制療法を行うこともあります。

まれですが、こうした治療中に、薬が効かなくなる耐性が生じることがあります。

そのような患者さんでは、再発時に使える治療法が限られています。入院して、副作用の負担が大きい注射薬を使う必要が生じることもあります。

今回の新薬は、こうした方々の大きな助けになり得ます。

今回の新薬の利点を3つに整理します

1. ウイルス排出を大きく減らす

HSVは、症状がないときにも排出されます。短期の比較試験では、プリテリビルによるHSV-2の排出は、バラシクロビル使用時の半分以下に低下しました。期待できる結果ですが、ウイルス排出の減少と、パートナーへの感染を実際に減らすことを直接証明するのは、同じではありません。

2. 従来の薬に耐性のあるウイルスにも作用する

移植を受けた方やHIV感染者など、免疫機能が低下し、アシクロビル系の薬では治療が難しい患者さんでも、プリテリビルの抗ウイルス作用が示されています。

3. 病変のある日数を減らし、治癒を改善する

短期試験では性器の病変がある日数が減少し、承認の根拠となった試験では、治療に反応しなかった患者さんで病変の治癒が改善しました。これは、治療終了後も長期にわたって再発率が下がることを証明した結果とは区別する必要があります。

ウイルス排出と病変日数の比較試験:Waldら、JAMA、2016年

従来の薬に耐性ができた患者さんにも使えます

ウイルスが増えるためには、自分のDNAをコピーする必要があります。

従来の薬は主に、新しいDNA鎖をつくる酵素であるDNAポリメラーゼを阻害します。プリテリビルの標的は、ヘリカーゼ・プライマーゼ複合体です。DNAの二本鎖をほどき、複製を始めるための短いRNAをつくる仕組みに関わっています。

簡単にいえば、同じコピー作業を、異なる場所で止めるのです。実際の細胞内では、これらの過程は密接につながって進みます。

そのため、従来の薬に耐性ができていても、プリテリビルでは効果が得られる可能性があります。従来のヌクレオシド類似体と違い、ウイルスのチミジンキナーゼによって活性化される過程も必要ありません。

従来のヌクレオシド類似体はDNAポリメラーゼを、プリテリビルはDNAをほどいて複製を始めるヘリカーゼ・プライマーゼ複合体を阻害します。
二つの薬剤群は、阻害する標的が異なります。仕組みを簡略化した概念図であり、分子構造を示す図ではありません。

出典:Reverse Entropy制作。Waldら、NEJM、2014年の作用機序の説明に基づく日本語の解説図。

実際に病変は治りやすくなったのでしょうか

承認の根拠となった第3相PRIOH-1試験のPart Cでは、免疫機能が低下した成人101人をランダムに分け、プリテリビルと、担当医が選んだ従来の代替治療を比較しました。プラセボとの比較ではなく、どちらの治療を受けているかがわかる非盲検試験です。

28日以内にすべての病変が治癒した割合は、プリテリビル群で63%、比較群で34%でした。約29パーセントポイントの差です。

PRIOH-1 Part Cで28日以内にすべての皮膚・粘膜病変が治癒した割合は、プリテリビル63%、担当医が選択した治療34%。
PRIOH-1 Part Cで、28日以内にすべての皮膚・粘膜病変が治癒した割合。FDAが報告した丸められた数値で作成したグラフで、差は約29パーセントポイントです。

出典:FDA、2026年10月9日。Reverse Entropyがグラフを再作成。

副作用はどうでしょうか

短期の比較研究では、従来の経口薬より副作用が多いという結果は出ていません。ただし、長年使われてきた薬と違い、新薬の長期的な安全性は、今後も見守る必要があります。

免疫機能が正常な人での研究はなかったのでしょうか

研究はあり、効果も示されています。2014年のNEJMには、性器ヘルペスの既往があるHSV-2感染者156人を対象としたランダム化プラセボ対照試験が掲載されました。

28日間の観察で、プリテリビルは用量に応じてウイルス排出と病変のある日数を減らしました。

一般的な性器ヘルペスの患者さんでも効果が見られたということです。ただし、今回の承認対象は、先ほど説明した限定的な患者集団です。

韓国では承認されたのでしょうか

韓国語の原文を公開した時点では、韓国ではまだ承認されていませんでした。FDAの承認を受けたことで、韓国での承認も続くのではないかと私は考えていますが、時期は確定していません。

私が今回のニュースをうれしく思う理由

ヘルペスを繰り返す方が最も望んでいるのは、おそらく二度と再発しない治療でしょう。残念ながら、今回の薬は完治薬ではありません。

しかし、従来の薬が効かず、病変が続く患者さんにとっては話が違います。使える薬が一つ増え、しかも異なる作用機序の飲み薬であれば、治療の選択肢は大きく広がります。

私は、今回の新薬をその点で評価したいと思います。すべてのヘルペス患者さんの治療が一度に変わったわけではありませんが、治療が難しかった一部の方にとっては、本当にうれしい変化です。

これからもこうした新薬が登場し、再発の負担を減らし、さらに完治につながる治療へと進んでほしいと期待しています。

参考資料

  1. FDA. FDA Approves Drug to Treat Lesions Caused by Herpes Simplex Virus. 2026年10月9日。承認発表
  2. ClinicalTrials.gov. PRIOH-1, NCT03073967. 試験登録
  3. Wald A, et al. Helicase–Primase Inhibitor Pritelivir for HSV-2 Infection. NEJM. 2014;370:201–210. 原著
  4. CDC. Herpes — STI Treatment Guidelines. 治療ガイドライン
  5. Wald A, et al. Effect of Pritelivir Compared With Valacyclovir on Genital HSV-2 Shedding in Patients With Frequent Recurrences: A Randomized Clinical Trial. JAMA. 2016;316:2495–2503. 比較の根拠

韓国語原文の公開日:2026-10-10。韓国語の原文を読む ↗